2011年08月08日

笛川(てきせん)の巨峰

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 7月7日に加納岩の桃(ぴ〜)の産地視察に行かせて頂きました。その日は、加納岩から、30分ぐらい車で行った笛川(てきせん)にも行きました。

 そう、笛川(てきせん)と言えば巨峰のブランドとして有名な産地です。高いところは、標高800mあり、昼と夜の温度差があります。そのため、色付きも良い美味しい巨峰が出来ます。美味しい空気、綺麗な水も巨峰作りには欠かせません。




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 実は、加納岩でたいへんお世話になりました鶴田さんが異動され、JAフルーツ山梨の笛川統一共選所にいらっしゃるとのことで、それでは、是非、お会いせねば!ということになりました。

 鶴田さんは、「僕は桃のことは詳しいけど、巨峰のことはあまり分からないんですよ〜。」とご謙遜されていましたが、とても興味深いお話を伺いましたので、ご紹介させて頂きます。


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 上の写真は、巨峰の花です。花の一つ一つにめしべがあり、受粉することで果実となります。

 こんなにたくさん花があれば、沢山の実が実って良いような気がしますが...。

 このまま実をつけると、大きさがバラバラとなり、美味しい巨峰にはならないそうです。栄養が十分に実に行き届かないんですね。そこで、必要な花だけ残し、他は取り除きます。


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 「えっ?こんなに取り除いちゃうの?」これが正直な感想でした。ちょっと勿体無い気もしますが、欲をかいてはいけません。


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 実際の巨峰と並べてみるとイメージが湧きました。


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 もう1つ、鶴田さんからのお話で印象的だったのが、種無しか、種有りなのかということです。「僕は、種有りの巨峰の方が好きで、より美味しいから、皆さんにも召し上がって頂きたいです。笛川(てきせん)の7割は、種有り巨峰なんですよ。」とのことでした。


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 上の写真は、種有り巨峰です。実を引っ張ると軸にしっかりと養分を送る芯があることが分かります。(赤丸の部分)この芯は種と結びついています。

 どうしても種があると食べづらいからという理由で、種無しが増えています。

 では、どうやって種無し巨峰を作るのか、それには、ジベレリン処理というものを行います。


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 昔、稲の中にとても大きく育つものがありました。正常なものの約2倍にも成長します。その稲を調べたところ、稲の中にある成長ホルモンであるジベレリンが発見されました。

 このジベレリン処理は、2回行います。

 1回目は、花が満開になる前です。必要な花だけ残した巨峰を、ジベレリンで満たしたコップの中に漬けます。処理することで、受粉・受精がすんだと巨峰の木がだまされます。だまされためしべの中で、植物ホルモンが盛んに生成・分泌され果実が大きく成長します。

 2回目は、開花10日後に行います。更に果実が大きくなり、色付きが良くなります。

 処理という言葉を使うと、何か薬品を使っているのかな?と勘違いしていました。もともと、植物がもっているホルモンの一種だったんですね。


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 当日、園地で色々と教えて下さった古屋さん。ハウス栽培の園地と、路地栽培の園地の二箇所を丁寧にご紹介下さいました。

 (これまでの写真の中で、色付いた巨峰がハウス栽培のものです。路地栽培のものは、これから実が大きくなります。花としてご紹介したのが露地栽培の巨峰です。)


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 路地栽培の巨峰の中に、実の大きさが異なるものが混じっているものがありました。これは極端な例ですが、はさみを使って不揃いな粒を取り除いていきます。


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 1分足らずの時間で、作業が終了。あっという間の出来事でした。


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 このように粒が揃いました。一つ一つの粒が大きく成長すると美味しい巨峰になります。


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 そのほかにも、枝の剪定や、袋かけ作業、古い樹を切り、新しい植樹をするといった作業があります。花が咲いてから収穫するまでの期間だけでなく、一年中、色々な作業があります。とても手間がかかっているんですね。


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 当日、訪問させて頂いたバイヤーは勿論のこと、お店のチーフも、色々な新しい発見がありました。鶴田さん、古屋さんありがとうございました。


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 とても美味しい笛川(てきせん)の巨峰。実際に種有り巨峰を試食させて頂いたのですが、濃厚で甘かったです。路地ものは、もう少し先に出荷されます。ワイズマートでも店頭に並ぶ予定です。お楽しみにお待ち下さい。
posted by ワイズマン at 19:04| 千葉 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 産地視察 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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