2011年10月31日

今年の越智今治みかん

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 愛媛産地視察レポートその2です。越智今治編です。

 昨年は裏年(みかんは、たくさん実る表年と少ない裏年が隔年周期の果物です。)で、更に収穫量が少ない状況でした。今年は、表年ですから、たくさん実って良い筈なのですが、どうだったのでしょうか。

 と本題に入る前に、昨年と同じで、JA越智今治様が運営されている道の駅「さいさいきて屋」様を見学させて頂きましたので、そちらを簡単にご紹介致します。昨年のレポートはこちらをご覧下さい。


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 「さいさいきて屋」様は、組合の農家の皆さんのお店です。お邪魔したのが、午前8時30分頃、オープンは9時からですので、農家の皆さんがちょうど陳列されていた時でした。売場の8割以上は、お野菜と果物で埋め尽くされ、お肉とお魚、牛乳やヨーグルトなどの日配商品、スポンジケーキ、民芸品などで、残りの2割以下の売場を構成しています。


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 特に印象的なのが、所々に掲示されているこのPOPです。

 とても味があって、温かいです。ただ味があるだけでなく、美味しいものの見分け方、食べ方などについて分かり易くまとめられており、見習わせて頂く部分がたくさんあります。確かに売場が広いので出来ることなのかもしれませんが、お客様が知りたい情報を分かり易く、そして見ていて和む気持ちになれるPOPは、素敵だと思います。

 このPOPは、レモンですね。外国産のレモンは黄色いイメージがありますが、輸送段階で色付くもので、元々はこのような緑色をしています。逆に国産も、時期が遅くなれば黄色いものが売場に並べられることになります。

 国産レモンの第一の特徴は、「香り」。JA越智今治の越智さんに、今年も大変お世話になったのですが、「大きさは、外国産にかなわないけど、香りは全然違うよ。レモンはね。レモンの木の葉っぱからして香るんじゃけん。」と嬉しそうにお話されていました。


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 そして秋の果物「柿」。「さいさいきて屋」様の売場には、色々な種類の柿が並んでいましたが、その中でも気になったのが、「太秋柿」です。

 シャキシャキした食感で、とても甘い。


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 「太秋柿」には、上の写真のような、リング状の模様や斑点が入ることがあり、果実の糖度が高い証拠です。「条紋(じょうもん)」と言います。このような説明もきちんとPOPでされていますので、商品選びの参考になります。


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 勿論、果汁ジュースもありました。こちらは、ワイズマートでも大人気の「はれひめ」をジュースにしたものです。「瀬戸の晴れ姫」というのは、「はれひめ」の中でもご贈答用のもので、そのジュースですから、美味しいと思います。飲んでみたかったのですが、断念しました。

 「さいさいきて屋」様の売場は、とても沢山の種類が陳列されています。そして、農家の皆さんが、各々、包装の仕方や、陳列方法を工夫されているので、見ていているだけでも楽しくなります。同行したチーフも、目の色をキラキラ輝かせていました。

 そうこうしているうちに開店を待つお客様が並び始められました。200台はあるであろう駐車場も満車状態。観光バスもたくさん停まっています。

 そして開店。一目散にお目当ての商品にかけて来られる姿は、圧巻でした。人気が高かったのは、「いちじく」です。カゴの中に何パックも入っていきます。ジャムを作られるのでしょうか。

 ご来店されたお客様のレジカゴが直ぐに一杯になる光景は、壮観でした。


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 そして園地に移動しました。越智今治の園地は、しまなみ街道で有名な瀬戸内海にあります。(しまなみ街道は、愛媛県の今治と広島県の尾道を結ぶ、とても美しい道です。)

 この大自然に囲まれた中で越智今治のみかんは育ちます。


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 園地で一番最初に見たのが、このレモンです。JA越智今治の越智さんがおっしゃられていたように、試しに葉を一枚折ってみました。すると、レモンそのままの香りがするではありませんか。同様に、みかんの葉を折ってみましたが、あまり匂いませんでした。

 越智今治では、レモンも大変、力を入れており、生産される農家さんも増えているそうです。


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 こちらは、「紅まどんな」です。昨年より訪問した日が10日ほど、早いので、色付きはまだでした。贈答用に販売される高価なみかんです。以前のレポートがこちらでご覧頂けます。


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 こちらは、道をはさんで隣にあるキウイフルーツの畑です。たくさん実っていて美味しそうだなぁ〜と思ったのですが、これは、食べられないそうです。

 生産者の方が、放置された畑だそうです。今、日本全国の農家の方の悩みの1つが後継者不足と、高齢化問題です。みかんの生産量が落ちた理由の1つに、高齢化が進んだことで、以前なら山の斜面にもみかん畑を作っていたのが、平地だけで作る農家が増えてきたことにあるそうです。確かに僕が幼い頃は、10kgのみかん箱がスーパーでも普通に売られていたような記憶があります。勿論、核家族化、色々な美味しい果物やスイーツなどが増えたことも、みかんの生産量の減少にはつながっているのかもしれません。

 話を元に戻しまして、どうして、この畑のキウイフルーツが食べられないかと言いますと、手入れをされていないため、キウイフルーツに直射日光があたらないように遮っている葉が少ないため、焼けて中がぶよぶよになってしまっているからだそうです。


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 そして、いよいよ目的の早生みかんの畑です。

 前日の西宇和みかんの園地では、生育が1週間ほど遅れているとのことで、どの園地も色付きが進んでいませんでした。ところが越智今治のみかんは、色付きがこんなに進んでいました。

 西宇和と共通する点は、大玉傾向であること、表年なのに例年よりは、収穫量が少ないということでした。


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 実際に試食すると、酸がしっかりして濃厚な味わいでした。これから晴天が続くと糖度がのってきて、美味しいみかんになります。

 西宇和の方もおっしゃっていましたが、みかんは酸がないとおいしいみかんになりません。ボケた味のみかんになってしまいます。酸があって、糖度が増してきてバランスが良くなったときにコクを感じるみかんになります。


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 また、今年は園地をみていて大きな違いがありました。それが上の写真にある柵です。


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 もう1つ、電気柵。

 今年は、いのししが、沢山出てくるそうです。流石に昼間は見かけませんが、夜間は、普通に出くわすとのことでした。この電気柵も、いのししの厚い毛皮には効かず、鼻頭が触れた時だけ有効だそうです。

 動物は、美味しい果物だけ食べて、味の悪いものは食べません。もしかすると、山の斜面のみかん畑は、遊休地が増えたことで、手入れのされている平地のみかん畑が狙われているのかもしれません。


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 毎年、見学させて頂いている園地にも、電気柵が設けられていました。樹木や土だけでなく、このような対策の手間まで、本当に大変です。

 園地では、毎年、色々な問題が発生します。自然が相手ですし、また、より美味しいみかんを作ろうと、これまでは育てたことのないみかんもチャレンジされています。

 JA越智今治の芥川さんは、「本当に毎年、色々なことが起こるんですよ。でも、その都度、負けたままでおりません。必ず良くしようと頑張ります。そして課題をクリアしてくる日本の農家さん達は凄いと思います。」とおっしゃっていました。

 そしてもう1つ、気になっていた園地の状況です。


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 お父さんがなくなって、高齢のおばあさん一人ではどうすることもで出来ずに、遊休地となっていたみかん畑です。

 この写真は、2年前の様子です。手入れのされていないみかん畑には、全ての花にみかんが実り、肥料も与えられず、十分な栄養も行き届かないため、味が美味しくありません。だから、鳥すら食べようとしません。


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 そして昨年の様子をみると、雑草や放置されていたみかんの木はきれいに取り除かれ、土壌改良の処理が施されていました。


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 そして今年。新しい農家さんの手によって蘇っていました。

 みかんの苗木まで植えられた状態まで回復していたのです。

 土壌改良し、苗木を植えるだけでも2年。そして実を実らせるようになるまで3年。でも、本当に美味しいみかんが出来るまでは、10年かかるそうです。

 人が手を離れて駄目になるのには時間がかかりませんが、そこから復活するまでには、これだけの時間がかかると思うと、日本の農家の後継者問題は、深刻だと痛感します。


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 越智今治は、温州みかんに限らず、はるみ、紅まどんな、はれひめといったように色々なみかんを開拓されている産地だと思います。

 西宇和の「八協」では、1月以降に出荷される晩生種みかんを、数年前から始められたとのお話がございました。越智今治では、「石地(いしじ)」という晩生種みかんも、既に10年を迎えているそうです。年明け以降も温州みかんを召し上がりたいというお客様の声もございますので、こういったみかんもご紹介出来たらと思います。


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 今年で、愛媛みかんの園地を訪問するのは、私は3年目ですが、本当に毎年、色々な変化があると痛感します。工業製品ではない難しさ、農家の方々のよりおいしいみかんをお客様に召し上がって頂きたいという思いを、きちんとお客様に伝えることが、お世話になった私達の責任だと思います。
posted by ワイズマン at 10:18| 千葉 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 産地視察 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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