2008年05月06日

勝沼醸造

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 日本で本格的にワインの醸造が始まったのは、明治10年。祝村(現甲州市勝沼町)の有志が集まり、大日本山梨葡萄酒会社を設立しました。2人の青年がフランスに派遣され、技術を習得して、日本のワイン造りの先駆者となりました。

 ところが、日本のワイン造りは、「生食で出荷できないブドウをワイン用原料にまわす」という考え方が主流でした。本場ヨーロッパでは、ワイン用に一粒一粒の糖度を高める工夫をします。原料栽培に対する意識が、根本的に違うため、「日本のワインは水っぽい」「おいしくない」といった一般的な認識が生まれてしまいました。


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 現在は、日本のワイナリーも独自のこだわりをもって、世界に通用するワインをつくっています。

 その中でも、ワインの発祥地、勝沼で約70年。勝沼に根ざし、ぶとう栽培からワイン醸造まで一貫して日本のワイン造りを手掛けている勝沼醸造様についてご紹介させて頂きます。


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 勝沼醸造様をご訪問したのは、5月1日でした。車で2時間弱。勝沼ICをおりるとそこには、ぶどう畑が広がっていました。

 ほどなく、勝沼醸造様に着いたのですが、その外観は、ワイナリーというよりは、清酒の造り酒屋さんなのでは?と思えるものでした。


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 蔵の横にあるエントランスから入ると、ワインのテイスティングコーナー&販売所がありました。ここでは、ワインオープナーや、勝沼醸造様のブランド、アルガブランカが販売されいます。


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 こちらが、ティスティングコーナー。リーデルグラスで、自由にワインサーバー(赤丸で囲んだ部分)からワインのテイスティングを楽しめるコーナーです。(お一人様500円(税込)で30分間)色々ティスティング出来るから、お土産を購入するにも便利ですね。

 このティスティングコーナーの前にある机で、ご案内下さる平山さんをお待ちすることになりました。5分から10分ぐらいお待ちしていたと思います。その間、ふらっと立ち寄るお客様がいらっしゃいました。割ぽう着姿の女性、ラフな格好の男性など、すぐに地元のお客様だと分かります。セミナーでもお世話になった有賀さんと、お客様が会話を愉しまれています。勝沼醸造様が、地元から愛されていることが伝わってきた瞬間でした。


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 こちらが、当日、大変お世話になった製造部の責任者でもある平山さんです。有賀さんのセミナーも熱い情熱が伝わってきたのですが、平山さんも、最初から情熱全快モードでした。(笑) 勝沼醸造だけでなく、勝沼という土地を愛していて、1社だけが成功するのではなく、町全体(ワイナリー、ぶどう生産農家みんな)で世界に誇れるワインを作っていくんだ...という情熱がひしひしと伝わってきます。


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 まずは、外の空気を吸いながら、ワイナリーツアーの概要についてご説明して頂くことになりました。テイスティングコーナーのガラス戸を出ると、そこにはウッドデッキのテラスが広がっています。


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 テラスの横には川が流れて、対面には、勝沼醸造様の葡萄畑が広がっています。


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 小川のせせらぎ、風に揺れる木々の音。まさに癒しの空間です。こんな環境で仕事したいですね。


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 平山さんから、アルガーノ、アルガブランカという2つのブランドについてのご説明と、勝沼醸造様が販売店に望むこと、勝沼醸造様の企業ポリシー等についてのお話がありました。

 ワイズマートのバイヤーからも、ただ物を売るだけではいけない。食に関るスーパーとして出来ることの一つとして、食育活動や、春休みの親子料理教室など、ワイズマートの企業ポリシーや夢についての意見交換がされました。

 そして、お待ちかねのティスティングとなりました。場所を奥の部屋に移しました。上の写真は、ティスティングした部屋から見える眺めです。今では珍しい、縁側となる廊下に障子。夏の暑い日は、この畳の上で寝転ぶと気持ちがいいそうです。


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 今回、ティスティングさせて頂いたアルガブランカ ブランドのワインたち。アルガブランカは、特約販売店でのみ取扱われているワインです。

 生意気なようですが、売り手を選びますとのこと。特約販売店制度については割愛致しますが、ご説明の中で分かったことは、自分たちの作ったワインに対する誇りでした。安易に安売り販売されてしまっては、ワインの価値を低くするだけではなく、ぶどう畑の生産農家の方々にもご迷惑をかけ、最終的には、農地の遊休化が進み、勝沼が死んでしまうことに繋がる恐れがあります。

 アルガーノ ブランドについても、同様で、売り手が見えないお店には、流通されないというポリシーをお持ちです。アルガーノ クラッシックの中に酒石酸がある場合があるのですが、これを正しく説明出来ないお店では、異物混入というトラブルになってしまう恐れがあります。自分たちは、夢と情熱を持ってワインを最高のワインを作る。だから、それを売るお店側も、そのワインをきちんと伝える情熱が無くては駄目なんですね。


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 平山さんの前に並ぶワインたち。今回ティスティングさせて頂いたワインです。特に気になったのが、「アルガブランカ・イセハラ」です。このワインは、伊勢原の単一畑から収穫された甲州種のみを原料に醸造したワインです。ティスティングして驚いたのが、ソービニヨンブラン葡萄にある華やかな柑橘系(グレープフルーツ、オレンジ)の香りです。桃の木がある伊勢原だから、桃の匂いもしているような気がしてきます。他の甲州種ワインとは、ここが大きく違います。

 甲州葡萄の買い付け量が日本一で、日本一たくさんの甲州種ワインを醸造し続けている勝沼醸造様。幅広く甲州葡萄を買い付け注意深く見守り続けていたお蔭で、同じ甲州種なのに、こんなにも違うワインが出来ることが発見出来たのだと思います。伊勢原の独自の個性(テロワール)がある事が分かった瞬間です。伊勢原という土地は、土に小石がまじる、水はけの良いヤセた土地だそうです。良いワインのぶどうは、あまりヤセ過ぎてはいけませんが、肥沃過ぎても駄目だと言われています。その理由は、肥沃な土地だと根があまり延びていかないからです。逆にヤセている土地のぶどうは、水や養分をもとめ、たくましく地下深くに延びていかないといけません。だからこそ、良い葡萄となり、その葡萄から作られたワインは、最高のワインとなります。

 誠に残念ですが、「アルガブランカ・イセハラ」は、蔵元にももう無いそうです。人気があるのも頷けます。


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 続いて、ワイナリーの他の場所のご案内をして頂きました。

 蔵の1階にある樽醗酵・樽貯蔵場です。現在、メインは、生産工場内に移動しています。脇にある階段を上っていくと、リーデルグラスギャラリーを見ることが出来ます。


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 ここは、リーデル社のワイングラス、デキャンターが、ほぼフルラインナップ展示されている日本で唯一のギャラリーです。リーデルのワイングラスは、産地や品種ごとにそのワインの良さを最大限に感じられるようグラスの大きさや形が工夫されている特徴があり、世界のソムリエから信頼されているトップブランドです。直営レストラン「風」でも、リーデルのワイングラスを使われているこだわりようです。


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 最初は「香り」に驚き、次に「味わい」に驚く。ふくよかさが違う、やわらかさが違う。リーデル社10代目オーナーのゲオルグ・リーデル氏が来日され、84種類以上のリーデル社製グラスに甲州種ワインを注ぎ、甲州種ワインの特性を最大限に引き出すグラスとして、ソーヴィニヨン・ブラン/デザート・ワイン(商品番号 416/33)が選ばれました。

 次回は、「垣根仕立てのぶどう畑」のお話です。
posted by ワイズマン at 10:00| 千葉 ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | 産地視察 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
勝沼醸造のワイナリー、素敵な建物に心惹かれます。
日本のワイナリー、という雰囲気が伝わって来ました.
いつか着物で訪れたい気になりました.
次回のレポートも楽しみにしています.
Posted by e-塩梅 at 2008年05月07日 01:13
昔の建物は、夏を涼しく過ごす為の工夫がありました。
僕も幼い頃、縁側で寝転んだりしていました。

昔、勝沼では、湯呑みでワインを飲んでいた習慣があるようです。

勝沼醸造様が、敢えて現代風のワイナリーにせず、日本の古い家屋のまま営業されている理由の一つに、甲州という日本固有のぶどう品種から作る国産ワイン、言い方をかえると日本酒を作っているワイナリーというこだわりにあるそうです。

テラスで川のせせらぎを聴きながら夕涼み。夏は浴衣で線香花火なんかしたら絵になりそうですね。
Posted by ワイズマン at 2008年05月07日 18:44
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