2008年06月03日

リーデル その1

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 ワインの味が、グラスで変わるなんて信じられますか?

 5月15日に開催されたワインセミナーは、そんな謎を解明し、体験して頂く内容でした。その不思議なグラスの名前は、「リーデル」です。


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 講師は、リーデル・ジャパン株式会社の庄司大輔さんです。JSA公認ソムリエ資格をお持ちで、且つ日本初のリーデル社認定シニア・ワイングラス・エデュケイターでもいらっしゃいます。

 ボルドー地方サン・テミリオンのCh.トロット・ヴィエイユにて、半年間住み込む傍ら、ブドウの収穫や収穫後の一連の作業、ボトルのエチケット貼りなどを体験されています。数々の体験に基づく、知識、味覚は、何にも勝る説得力となります。


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 庄司さんの説明は、とても分かり易いです。上の写真は、ワインの酸味と熟成のまろやかさをシーソーで表している様子です。オーバーアクション気味で、見ていて楽しいし、頭の中に映像として残ります。

 それでは、どのようなセミナーだったのか、具体的な内容をレポートさせて頂きます。


 今回のセミナーでティスティングされたグラスのセットです。リーデルにも幾つかのシリーズがありますが、今回のセットは、「vinum(ヴィノム)」というシリーズです。


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 素材はsommeliersシリーズと同く鉛24%含有の「最高級レッドクリスタル」を使用したマシンメイドタイプです。鉛が24%以上含まれていると「クリスタル」と言えるそうです。クリスタルというイメージからすると、グラスが滑らかでキラキラ輝いているように思いますが、実際は、その逆でザラザラになるそうです。(顕微鏡で見たレベルのお話ですよ)ザラザラだからこそ、ワインがそこに残るので、よりワインを見て楽しめるそうです。

 確かに、ちょっと話がずれてしまうのですが、カメラのレンズにも以前は、鉛が使われていました。当時のレンズは、今みたいにコーティングといった技術や、色々なレンズの硝材がありませんので、色々な収差がありました。でも、昔のレンズの方が、きっちり写らなくても、そこに「味」や「あたたかさ」が感じられました。これは、「鉛」が含まれているお蔭だと思います。


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 話が少し脱線してしまいましたので、元に戻しますね。

 一番最初にご紹介されたのが、ヴィノム Ref.No 6416/33 「ソーヴィニヨン ブラン」です。リーデルのグラスは、グラスそれぞれに一番合うぶどうの名前がついています。そう、このグラスは、ソーヴィニヨン・ブランがおいしくいただけるワイングラスということです。(以降、「」付きの場合、リーデルのワイングラス名です)

 ソーヴィニヨン・ブランは、際立った香りと爽やかな酸味が特徴の品種です。


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 庄司さんのジェスチャーだとこんな感じです。むかって左側が酸味、右側がコクだと考えて下さい。酸が強いソーヴィニヨン・ブランの場合、この酸味を柔らかくしてあげるといいのです。つまり、酸を軽くして、コクを重くするとおいしいワインになります。


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 こういう状態ですね。では、「ソーヴィニヨン・ブラン」が、どのようにして、この理論を実現しているのか、そこを解説します。


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 ちょっと見えないかもしれませんが、舌のイラストだと思って下さい。舌は、その部分によって、強く感じる味覚が異なります。酸味を感じるのは、舌の両側面です。酸味を弱くするには、この部分にワインが触れないようにすればいいのです。


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 「ソーヴィニヨン・ブラン」は、上の写真ぐらいの状態ではワインが飲めません。もっと顔を見上げるぐらの角度にしないとワインが口の中に流れ込んできません。角度がつくと飲むとき舌先が上、舌元が下になります。ワインは勢いよく口の中に流れるため、舌の両側に広がらずに真ん中部分をスゥッ〜と流れるのです。勢いよく流れるため、ワインが横に拡がりません。

 ここで、一般的に売られているワイングラスに同じワインを注いで、同じソーヴィニヨン・ブランのワインをティスティングしてみます。お客様一同、苦笑いされていました。顔を見上げずに飲めるため、ワインがゆっくりと口の中に拡がり、酸味を強く感じたためです。

 同じワインを再びリーデルに戻してみて、ティスティング。このようにして、リーデルグラスの良さを、実感していきます。


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 次のグラスは、ヴィノム Ref.No 6416/97「シャルドネ」です。この「シャルドネ」の特徴は、ワインを注ぐ部分「卵」(庄司さんは、そうご説明されていました)が、横に拡がっていることです。この形状は、シャルドネというぶどうの特徴を考えて作られています。

 シャルドネの特徴は、世界的に人気がある高級品種で、香り高く、樽で熟成されることで、酸味とまろやかになっているコクのバランスが絶妙になっています。こういうワインの場合は、酸味を感じさせてあげることが必要。つまり「ソーヴィニヨン・ブラン」の逆で、舌の両側にワインを拡がるようにしてあげれば良いのです。


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 ワイングラスを水平にした状態でも、ワインが口の中に流れてくるような形が「シャルドネ」です。

 上の写真の状態では、舌は、水平になっています。この状態でワインが口の中に流れてくるスピードはゆっくりです。舌の両側が酸味を感じ、シャルドネをおいしく感じるのです。また、白ワインにしては大きめなこの卵の形状が、複雑で柔らかみのある香りを、グラス内にバラ
ンスよくひろげます。


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 ここで実験です。「シャルドネ」から「ソーヴィニヨン・ブラン」にシャルドネのワインを移しかえて飲んだらどうなるでしょう。酸味が弱いシャルドネが、さらにスッ〜と流れてしまって、酸味を感じないので、おいしくありません。


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 リーデルグラスが、ワイン毎に考えられていることが、お客様にも自分の舌を通じて伝わっていきます。グラスティスティングのセミナーの醍醐味は、ここにあると思います。

 次回は、赤ワインに合ったリーデルグラスをご紹介致します。
posted by ワイズマン at 13:00| 千葉 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | ワインセミナー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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