2013年4月18日に茨城県八千代町にあるエフピコ様のトレーリサイクル工場を見学させて頂きました。店長をはじめ、本部スタッフ、新入社員を含む総勢80名にも及び大人数となりました。エフピコ様、大変、お世話になりました。この場をかりて御礼申し上げます。
また、店長はじめ、トレーのリサイクルに対しての意識が、工場見学させて頂くことで大きく変わりました。私たち小売業が出来ること、お客様へのご協力をどう働きかけていけば良いのか、その回答を模索し続けることが重要で、ただ見学させて頂いただけで終わらないようにしたいと思います。

写真は、当日、大変お世話になった山岸さんです。食品トレーが出来たばかりの50年前から、現在に至るまで現役で活躍されている山岸さんのお話は、とても丁寧で分かり易く、今までの歴史を含めて新鮮でした。
それでは、非常に簡単ですが、食品トレーが、どのようにリサイクルされるのかご案内させて頂きます。
●食品トレーとは
食品トレーが無かった時代は、食品は新聞紙や竹の皮で包まれていました。食品トレーが登場し、お肉やお魚などが食べ易い形や量だけ選んで買うことが出来るようになりました。また、食品トレーの中でも多く使われている発泡スチロール食品トレーは、ポリスチレンという原料を空気でふくらませてつくりますので、少量の原料から大きくて、丈夫なトレーをつくることが出来ました。また、発泡スチロール食品トレーの特徴としては、軽い、強くて丈夫、断熱性、クッション性、耐水性、衛生的、鮮度保持といった特徴を持っています。
●リサイクルトレー
そもそも、リサイクルを始めたきっかけは、25年前のゴミ問題に始まります。食品トレーは、その特性でもありますが、強くて丈夫、耐水性もあり、そのままでは、自然に戻ることもなく、大量消費された結果、申告なゴミ問題となりました。そこで、エフピコ様では、23年前から、トレーのリサイクルに着手を始めました。当初は、技術的にも、コスト的にも色々な問題を抱え、普通に作るよりも大変だったそうです。しかし、絶えず、リサイクルについて研究と事業として実践することで、現在ではコスト的にもクリアされ、また限り有る資源の有効活用(原材料の石油)、CO2排出量の削減、洗浄で使う水の循環システムなど、様々な問題をクリアされました。今では、6〜7割がリサイクルトレーだそうです。エフピコ様では、リサイクルトレーのことを、エコトレーとして商品化されています。エコトレーには、エコマークが付いています。
このように聞くと、リサイクルトレーは、良いことばかりに思いますが、日本全国の食品トレーのリサイクル率は、18〜19%と大変低く、ペットボトルのリサイクル率85%と比べると、まだまだです。
食品トレーのリサイクルが進まない理由には幾つか考えられると思いますが、例えば以下のような理由がが挙げられます。
・お客様が、食品トレーの洗浄・乾燥をして、回収先の小売まで持っていかないといけない。
・回収先が小売などに限定され、自治体での回収がまだまだ進んでいない。
・リサイクルした方が、コストや環境に優しくないのではという誤解?がある。
・リサイクルには手間がかかり、沢山のトレーを処理出来ないのではないか?
・具体的なメリットが見えにくい。
これには、我たち小売の責任も大きく、もっと、もっとリサイクルについて現状をご紹介する必要がありますし、お店の回収箱がいつも一杯のままという状況は、改善しなくてはなりません。また、実際に見学させて頂き感じたことは、環境や資源に優しいこと、思ったよりもコンパクトな施設の中で効率的にリサイクルのシステムが構築されていること、結果的にコストも安く出来るようになったことで食品トレーの値段も下がり、お客様にも還元されること、また、障がい者の方々が、一生懸命にいきいきと働かれている姿は、環境と福祉をマッチさせた取組みとして上手に成立していることにあります。
リサイクルを成功させるためには、お客様(消費者)と小売、そして生産者みんなの協力が必要であり、その結果が大きなメリットとして、みんなに帰ってくるのです。

それでは、実際のリサイクルの手順を写真でご紹介致します。
まず、お客様がお持ちより頂いた回収トレーが運ばれてきます。回収されたトレーは、袋から開けられて、トレーを選別するためのレールに乗せられます。
大きな袋に入った回収トレーを、次々に開けていきます。
レールに乗せられてきたトレーを選別します。再生出来ないトレー(例えばコンビニのお弁当に使われているポリプロピレン製のトレーなど)を、取り除いたり、白いトレーとカラートレーに分類します。トレーの場合、この選別工程には、必ず手作業が必要であり、最も時間と手間がかかります。
現実問題としては、回収トレーに混じり、牛乳パックやひどい場合は、ゴミなども含まれることがあるそうです。その1つ1つを除外するのが手作業で行われていることを知れば、もっと分別することの意識も変わるし、きちんと洗浄しなくては...という気持ちになると思いました。
赤い帽子を被っているのが、リーダーの方です。選別する作業と同時に、障がいの方の作業状況をサポートされています。山岸さんのお話では、障がい者の方々は、本当に懸命に作業をされます。休んで下さいと告げない限り、さぼったりすることはありません。だからこそ、きちんと責任をもってサポートしなくてはいけないし、皆さんの能力向上や働くことへの喜びを生み出す労働環境には、十分な気配りが必要とのことでした。
例えば、この写真にあるエアコンの吹き出し口です。それぞれの作業者の頭上にある吹き出し口からは、冷房と暖房の空気が出ており、快適に作業が出来るように配慮されています。
こちらの写真は、選別から除外されたトレーを運びだすところです。ポリプロピレントレーは、リサイクルに使えないことは先程、ご案内しましたが、簡単な見分け方について教えて頂きました。爪楊枝で刺さらないのがポリプロピレンのトレーで、刺さるのがリサイクル出来る発泡スチロールのトレーです。トレーの選別作業は、本当に大変ですが、皆さん、物凄い速さで選別をされています。
ですが、私もいち消費者として、本当にリサイクル出来るトレーだけを回収箱に入れる義務はあると感じました。実際に、この選別作業の場面を見ると強く感じるのですが、このことについて、お客様にきちんと伝える責任も感じました。一緒に見学していた店長や新入社員も同様の感想を持ったようでした。
この選別レーンの最後にいる方(赤丸で囲まれている)が、一番のベテランの方で、写真右から流れてくるトレーの中で、最後に漏れてしまった再生出来ないトレーを取り除いたり、レーンの流れるスピードをコントロールされています。他の作業者の状況を見守りながら、時にレーンを止めたりして、選別作業が滞りなく出来るようにします。
この選別作業が終わると、風の力により細かい異物を取り除き、通過したトレーを細かく砕き、水で洗浄します。1度目の洗浄が終わったら、次はアルカリ熱水で洗浄し、水ですすぎ脱水し、さらに細かくしてから溶かして、最終的にペレットと呼ばれるリサイクルトレーの原料にします。
こちらが、リサイクルトレーの原料となるペレットです。白トレーから作られるのが、この白いペレット、リサイクルトレーとなって生まれ変わります。
こちらは、柄のあるトレーから作られた黒いペレットです。建築材料の原料として再利用されます。例えば、公園の杭などに使われる擬木(ぎぼく)や、鉄道標識、プラスチックの杭や、荷物を置くときのパレットなどの原料となります。
最後に回収箱に入れるときのお願い事項をまとめます。
@リサイクル出来るトレーだけを入れて下さい。
(爪楊枝で簡単にささるトレーです)
A洗ってからよく乾かしてから入れて下さい。
B油がしみこんでいるカップめんの容器は、リサイクルできません。
C容器の上ふちにのりやラップが残っているトレーはリサイクルできません。
D納豆の容器など、汚れが落ちにくいものもリサイクルできません。
以上、限りある資源を有効に活用し、環境に優しく、また、未来の世代に対して、今を生きる私たちの世代が出来るリサイクルという行動に、皆様のご協力をお願い申し上げます。
posted by ワイズマン at 11:54| 千葉 ☁|
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